prologue
増えすぎたヒトは母なる大地を加速度的に蝕んだ。
ヒトは痩せこけてゆく地上を食いつぶすまいと
数多くの計画を打ち出し続けたが、それらはことごとく頓挫してしまう。
最有力の解決計画と目された他惑星開発・移住計画も
自惑星脱出に要する出力を持つ燃油の枯渇により
無期限の計画凍結を余儀なくされ、
ついにヒトは、その命の限りが尽きることを待つばかりとなった。
ことの起こりはヒトの飽和にあり
国際共和連邦は、連邦加盟国のすべてに向けて
最終解決策――世界的な人口抑止法案を提示し、これを実行に移す。
俗に『殺し屋助成制度』と呼ばれるこの人口抑止法は、
施行開始日午前2時、法案可決の立役者である
国際人道問題担当事務次長ドリッテ=ライヒの暗殺によってその幕を開けた。
いまや殺し屋はナウなヤングのトレンディ稼業である。
別にSFではありません。